MBA出願で提出する「エッセイ」は、あなたの価値と意欲を伝え、入学に値する人材だとアピールするツールです。
この記事では効率よくエッセイを作成する手順を分かりやすく解説します。
MBA予備校やコンサルに頼らず、自力でエッセイ作成を志す方々の参考になれば嬉しく思います。

エッセイは自己アピールのツール
Essay/Statement of Purpose/Personal Statement
日本語では「エッセイ」と総称されていますが、英語では
- Essay
- Statement of Purpose (SOP)
- Personal Statement
などと呼ばれます。
出願時に履歴書、英語スコア、成績証明書などと一緒に提出します。
目的は「あなたを知ること」
そもそもスクールはなぜ、こういった書類を要求するのでしょうか?
端的に言うと、それは「あなたを知るため」です。
Quite simply, we ask for a personal statement because we want to know about you. All aspects of your application are important, but many areas tend to be factual and to the point. The personal statement is your opportunity to expand and tell us more about who you are, and what your motivations are for applying to Imperial.
出所:Imperial College ウェブサイト
最近はダイバーシティの観点から、どのスクールも様々なバックグラウンドの学生を欲しがっています。
エッセイは、「自分がいかにユニークで価値のある存在か」をアピールする一番のツールなのです。
具体的なエピソードや事例を用いて説得力を持たせることがコツです。
効率的に作成するには?
エッセイは、500語(A4 1枚)程度の長さが一般的です。
英文ライティングに慣れていなくても、以下の5つのステップに従えば効率的にエッセイを作成することができます。
- キャリアゴールとMBAのリンク
- リサーチ
- キャリアの棚卸と強みの可視化
- 日本語で文章化
- 英語に翻訳
以下で詳しくご説明いたします。
5つのステップ
①ゴールとMBAのリンク
どのようなエッセイでもベースになるのは、
どんなゴールを目指してMBAに挑戦するのか?/MBA取得を通じて実現したいゴールは何か?
という命題です。
これは単にエッセイ対策というだけでなく、MBAジャーニーのあらゆる時点で何度も周りから訊かれるテーマです。
起業/転職/昇進を目指す、マネジメント力をアップさせたい、グローバル人材になりたい、など、描くゴールは人それぞれでしょう。
そして「そのゴールのために、なぜMBAが必要なのか?」も、人によって違うと思います。
45+歳世代がMBAに挑戦するには、ゴールに向けた相当な熱意とモチベーションがあるはず。
ゴールとMBAとのリンクを、まずは明確に言語化なさってください。
②リサーチ
ご自分のキャリアゴールとMBAについての関係性を言語化できたならば、次はエッセイ周りについてのリサーチです。
特にライティングにそれほど自信がない方は、下調べのリサーチにはある程度の時間を割かれることをお勧めします。
②-1. エッセイ要件を確認
まずはエッセイのお題(エッセイクエスチョン、エッセイプロンプトと呼ばれます)、語数制限、エッセイの提出方法をしっかり確認なさってください。
エッセイ要件は、各校のウェブサイトか出願ポータルで確認出来ます。
下記はUniversity of Delawareの出願ポータルです。
注:文中のAlfled Lerner College of Business & Economics というのは同校のビジネススクールの名称で、MBAプログラムは同カレッジに属します。またUDとは、University of Delawareを指します。

ここで分かる要件は、
- プロンプトがある
- 字数制限はない
- 提出はファイルのアップロード
ということですね。
プロンプトからは、プログラムの内容と志願者のキャリアゴールとのフィットがかなり重視されている様子が伺えます。
では、別のスクールも見てみましょう。以下はUniversity of Aberdeenのポータルサイトです。

Aberdeenのエッセイは、
- プロンプトなし
- 字数制限なし
- 提出はファイルのアップロード
Delawareのようにプロンプトからスクールの意向を知ることはできませんが、その分、自由なテーマでライティングできるようになっています。
このようにスクールごとにエッセイ要件は異なります。
複数受験する場合は特に、各校の要件をしっかり確認なさって下さい。
②-2. アドミッションオフィスや在校生にコンタクト
時間がないなら、最低限、②-1だけでも良いのですが、余力があれば是非、アドミッションオフィスや在校生、卒業生にコンタクトして、深堀リサーチすることをお勧めします。
MBAエッセイでは、個性のない美辞麗句よりも具体的な意見やエピソードが好まれます。
上記Delawareのように、自校とのフィット(適合性)を重視する場合だとなおさら、スクールやプログラムに対して具体的なイメージを持っている方がエッセイに説得力が生まれます。
そのためにはスクールからリアルな情報を聞き出すのが一番です。
エッセイのポイントをズバリ聞いてみるのもアリかもしれません。
下記はSheattle Universityですが、たくさんのアクセスポイントが用意されていますので、お好きなメディアでコンタクトしてみることができます。

大抵のスクールは志願者用にオンラインイベントを開催していますので、気軽に参加なさるのもお勧めです。
下記はUniversity of Aberdeenのオープンデイのサインアップフォームです。
こういったイベントには、MBAへの夢を描く世界各国からの志願者が参加しています。
自分と同じような立場の人達の存在を知ることは、とても大きなモチベーションにもなります。
是非、参加をご検討なさってください。

②-3. サンプルエッセイを活用する
さて3つめは…。
地道ですが、独習者にとっては王道だと思われるのが「サンプルエッセイをひたすら真似る」ことです。
予備校やコンサルタントさんからアドバイスをもらえる環境にないなら、やはり「サンプルを沢山集めて良い部分を真似る」しかないように思います。
幸い、ネットで”MBA essay, sample” などと検索すると、沢山ヒットします。
有名校の合格者が書いた「合格エッセイ」を公開してくれているサイトもあります。
私の場合、MBA挑戦前は正式な英文を書く機会はほとんど無く、自分の英文がどのレベルなのかも分からない状態でした。

そこでひたすらネイティブのエッセイを読み込みました。
沢山のエッセイを読んでいると、自分でも使えそうな構成や表現がアンテナに引っかかってきます。
エッセイで使われているエピソードも、想像していたような壮大なものばかりではなく、イベント自体はかなり素朴でもストーリーを大きく膨らませて堂々と書き上げる(つまり「盛る」?)テクニックがかなり重要だと気づきました。
まさに「自分の価値は自分で創る」。謙虚を美徳とする文化とは根本的に発想が違う事を実感しました。
こういった気付きをエッセイの随所にちりばめて、何とか出願を乗り切りました。
皆様も是非、志望校のエッセイクエスチョンに合ったサンプルを沢山集めて、ご自身のエッセイに活用なさって下さい。
③キャリアの棚卸と強みの可視化
さて一通り下調べが終われば、次はネタ集めです。
ご自分のキャリアの棚卸をし、自分の強みをリスト化するのがお勧めです。
リスト化には、以下のようなメリットがあります。
- 自分自身を俯瞰的に見直すことが出来る
- 自分の「ユニークさ」を見つけやすい
- 後工程の文章化がスムーズに出来る
私の場合、10年以上も専業主婦でしたし、管理職の経験もなく、堂々と「キャリア」といえるような経歴はありませんでした。
でもアルバイト、パート、派遣社員などでの経験をリスト化していくうちに、「様々な業態の職場で色々なマネジメントを体験してきた」という、ユニークな強みを発見したのです。
…というより、「これを強みにしよう!」と決心したのです。
MBAを目指す以上、「特別な強みなんて無い」「特筆するほどの経験がない」といった謙虚さは封印し、思いつく限りの経験をリストアップし、強みとして昇華なさってください。
④日本語で文章化(最初から英語で書ける方はスキップ)
「強み」と「ユニークさ」をしっかりイメージした上で、お題に対する答えを日本語で書いてみましょう。
私の場合、③で発見した自分なりの「強み」「ユニークさ」を軸に論理を展開しました。
輝かしいキャリアを持つわけではありませんので、「なぜそれが強みと言えるのか?」「なぜそれがユニークなのか?」をしっかり説明するようにしました。
自分の人物像を描くエッセイに、画一的な正解はないと思います。
これまでの経験を元に、あなたならではのストーリーを表現なさって下さい。
注意すべき点として、エッセイの内容が他の出願書類と矛盾しないという事はとても大切です。
たとえば推薦状からイメージされる人物像とエッセイで語る人物像がマッチしないと、審査側に不信感を抱かせます。
そのためにも推薦状を依頼する上司には、事前に履歴書やエッセイの概要を伝えておかれることをお勧めします。
⑤英語に翻訳
最後は、いよいよ英語化です。制限語数に収まるよう英文をまとめてください。
誤字・脱字、文法ミスにはご注意なさって下さい。
ライティングに抵抗感がある方は、つい身構えてしまいますが、入学すれば、それこそ日々英文を書かなければなりません。
英文指南サイトや書籍は山ほどあります。
この段階で、ライティングのコツをつかんでおかれると後々かなり楽です。
私が心掛けたのは、以下の3つです。
- 簡潔に書く
- Topic sentenceやTransition sentenceを活用する
- Power verbsを使う
周囲にビジネスライティングの素養がある方がいらっしゃれば、是非、英文をご覧いただいてフィードバックをもらってみてはいかがでしょうか?
そういう方がいらっしゃらなくても翻訳ツールを上手く活用したり、場合によっては有料の校正サービスも検討なさって下さい。
まとめ
この記事では、予備校やコンサルタントに頼らず、自力で出願エッセイを書きたい方のために、効率的な作成手順をご紹介しました。
この記事でお伝えしたこと
エッセイは以下の手順に従えば、効率的に作成できるのでお勧め
- ゴールとMBAのリンク
- リサーチ
- キャリアの棚卸と強みの可視化
- 日本語で文章化
- 英語に翻訳
*本記事の内容は、あくまでも執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。各校の最新情報は必ず、スクールのウェブサイトでチェックなさってください。