オンラインMBAのスクール選びに、MBAランキングを参考になさる方も多いと思います。
ここでは代表的なランキングを幾つかご紹介し、ランキングの見方もご紹介します。

1. ランキングにも色々ある
MBAランキングはFinacial Timesなどの新聞社や評価機関が毎年発表しています。
以前からあったフルタイムMBAのランキングに加えて、近年はオンラインMBAのランキングも発表されることが多くなってきました。
スクール選びのためにMBAランキングを参考にしたいという方は多いと思います。

・対象スクールや評価項目の違い
気を付けて頂きたいのは、発表元の属性により、これらのランキングの中身はかなり違うということです。
たとえば、アメリカのFortune、Forbes、Poets and Quants、The Princeton Reviewのランキングは米国スクールのみです。
一方で、イギリスのQSランキングやFinancial Timesのランキングには、ヨーロッパやアジア・パシフィックのスクールも入っています。

どのランキングもベースにしているのは、スクール/卒業生/企業の採用担当者などへのアンケートです。
アンケート内容が異なるので、各ランキングでの評価項目やその重みづけも違います。
たとえば、Financial Timesのランキングでは、Carbon FootprintやESG and Net Zero TeachingといったESG項目も評価に含まれています。
またそもそもアンケートを提出せず、ランキングに参加しないスクールも沢山あります。
ランキングに掲載が無くても国際認証のあるスクールであれば、良校はあると思います。
個人的には、ランキングを過度に重視し過ぎない方が良いかと思っています。
2. Poets and Quantsのランキング
・トップはIndiana University (アメリカ)
アメリカのMBA情報コミュニティとして有名なPoets and Quants。
対象は北米スクールのみですが、以下の10校を24年のベストオンラインMBAとしています。

Indiana Universityは、Residentialと呼ばれる対面アクティビティが人気で、リアルタイムのライブ講義も毎週あるなど、よりナマっぽいところが評価されているようです。
下記はシカゴの同校キャンパスで実施された22年のResidentialの様子です。

北米のスクールは毎週のライブ講義があるところも多く、時差の関係で日本で働きながら参加するにはなかなか難しいかと思います。
そこで北米だけでなく、以下では世界中のスクールを対象にしたQSとFinancial timesのランキングをご紹介します。
3. QSのランキング
・トップはImperial College(イギリス)
Quacquarelli Symonds(QS)は、海外留学を志す学生に世界中の大学の情報や評価を提供しているプロバイダーです。
以前はTimes Higher Educationと連携して大学ランキングを発表していましたが、今はそれぞれ独自のランキングを実施しています。
オンラインMBAのトップ10は以下の通りです。

トップはイギリスのImperial College、続いてマドリードキャンパスが人気のスペインのIE、そして3位はイギリスのWarwickとなっています。
前述したPoets and Quantsランキングで1位だったIndiana Universityはトップ10に入っていません。
同ランキングで2位だったCarnegie Mellon Universityは、今年からQSランキングに参加したそうで、いきなり7位に入りました。特にFaculty and teachingという項目が高評価だったようです。
質の高さで有名な同校の講義は、実は誰でも無料体験できます。ご興味のある方は、是非下記をご覧ください。
・評価項目
QSでは以下の4カテゴリー(カッコ内は比率)で、スクールを評価しています。
- Faculty and Teaching (35%) :Academic reputation, Completion rateなど
- Employability (30%):世界中の企業の採用担当者へのアンケートがベース。具体的な項目は非開示。
- Class Profile (30%):Number of student enrolled, Applicant/place rate, Work experienceなど
- Class Experience (5%):Physical meetups, regular synchronous classes, 24/7 tech supportなど
ちなみにQSの評価手法では、以下のように実務経験豊富な学生の存在はスクールにとって加点となります。
Work experience: A large aspect of studying an online MBA is group work and case discussion. Having an online MBA cohort with more work experience provides more perspectives from professional settings and projects that elevate the entire programme experience. This is vital as you don’t just learn from your teachers, but also your peers.
出所:https://www.topmba.com/mba-rankings/online-mba-rankings/methodology
評価機関やスクール側にこのような観点があるという事は、ミドル・シニア世代のMBA志願者にとっては朗報ですね。
4. Financial Timesのランキング
・トップはIE(スペイン)
さて次はFinancial Timesを見てみましょう。
1位と2位が入れ替わっただけで、トップ3のメンツはQSと全く同じです。
ここでもPoets and Quantsランキング1位のIndiana Universityの名前は見当たりません。

・評価項目
Financial Timesでは評価項目が全てオープンになっており、幾つかのスクールでは全スコアが公開されています。
たとえばトップのIEのスコアはこちらで見られます。
この10校でのMBA後の年収アップなどについてのデータをまとめたのが下記記事です。
最も年収アップ率が高かったのは4位のUniversity of Southern Californiaで44%、10校平均では30%の年収アップです。
5. まとめ
Poets and Quantsで1位のIndiana Universityが他のランキングではトップ10に名前が見当たりません。
トップ10圏外なのか、そもそもランキングに参加していないのか、どちらなのかは分かりません。
このような事例からもお判りいただけるように、どのランキングもそれぞれ独自の評価軸でのアウトプットです。
あくまでも参考程度という認識の方が良いかと思います。
一方で、スクールごとの詳細なスコアを公表してくれているサイトでは、年収アップ率、合格率、卒業率などのデータを入手することが可能です。
一度、色々とリサーチなさってみると良いのではないでしょうか?
*本記事は執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。最新の情報は各ウェブサイトでご確認なさって下さい。