オンラインでMBAを取りたいと思ったら、海外オンラインMBAがお勧め。
世界中に何百というオンラインMBAプログラムがあります。
とはいえ、教育の質は千差万別。
質の高いスクールを選ぶ目安になるのが、「国際認証」です。
日本ではあまりなじみがないので、「国際認証ってそもそも何?」「どんな価値があるの?」という方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、MBAの国際認証の概要やプロセス、そしてなぜ国際認証に価値があるのかについて、わかりやすくご説明します。
こんな方を対象としています
海外オンラインMBAのスクール選びで迷ってる方
MBAの国際認証について知りたい方
45+歳世代で海外オンラインMBAを目指す方
MBAの認証制度
国際認証制度
欧米には、大学などの高等教育機関に対して、第三者機関(認証機関)がその教育の質を評価し、一定以上のレベルであれば認証するという制度があります。
このような欧米の認証制度を、日本では「国際認証」と呼んでいます。
音楽や心理学、ほかにも物理学やデータサイエンスなど、あらゆる教育分野にそれぞれ認証機関があり、独自の認証制度を確立しています。
MBA(経営学教育)では、100年以上前から認証制度が機能しており、認証校には高い信頼が寄せられています。
MBAの3大国際認証
MBAの国際認証として名高いのは、以下の3つです。それぞれフォーカスが異なり、独自の認証基準を持っています。
- AACSB(アメリカ) 1916年設立。60カ国以上で1000校以上を認証。
- AMBA(イギリス) 1967年設立。50カ国以上で280校以上を認証。
- EQUIS(ベルギー) 1997年設立。40カ国以上で210校以上を認証。母体はEFMD。
3つ全てから認証されたスクールはTriple Crownと呼ばれます。
たとえば、University of London、University of Manchester、Durham University、日本なら名古屋商科大学がTriple Crownです(残念ながら同校にはオンラインコースはありませんが…)。
キャリアへのインパクト
オンラインMBAは、学位上、フルタイムMBAと全く同じ扱いで、卒業証書にも「オンライン」との記載はありません。
従って、国際認証校でオンラインMBAを取得することは非常に価値があります。
ただひとくちに海外MBAといっても、クオリティは千差万別です。
海外MBAならどこでも良いというなら別ですが、投入リソースに見合ったキャリアへのインパクトを考えると、スクール間のクオリティの違いには、注意を払った方が良いかと思います。
残念ながら日本企業の採用現場では、トップ校(ハーバードやスタンフォード)以外のMBAスクールはあまり知られていません。
単に海外MBAを取ったというだけでは、価値の証明が難しいのが現状です。
たとえばご自分の上司や、お付き合いのある転職エージェントをイメージしてみてください。先ほど挙げたUniversity of London、University of Manchester、Durham Universityをご存知の方は、かなり少ないのではないでしょうか?
私もUniversity of Leicesterという日本ではあまり知られていないスクールでMBAを取ったので、キャリア説明時にはいつも「国際認証校」と補足し、クオリティを裏付け、価値を明確化しています。
特にオーバー45歳のベテラン世代ほど、国際認証で価値を担保するメリットは大きいように思います。
ではそもそもなぜ、国際認証にそこまで価値があるのでしょうか?
国際認証の価値
それを知るために、国際認証の認証基準と認証プロセスをご紹介したいと思います。
認証基準
認証機関は、それぞれ独自の認証基準を持っています。
たとえば先に挙げたAACSBは7つの基準(スタンダード)があります。
Strategic Management and Innovation(教育機関としての体制)
- Standard 1: Strategic Planning
- Standard 2: Physical, Financial, and Virtual Resources
- Standard 3: Faculty and Professional Staff Resources
Learner Success(教育の質)
- Standard 4: Curriculum
- Standard 5: Assurance of Learning
- Standard 6: Learner Progression
- Standard 7: Teaching Effectiveness and Impact
Thought Leadership, Engagement, and Societal Impact(社会へのインパクト)
- Standard 8: Impact of Scholarship
- Standard 9: Engagement and Societal Impact
例えばStandard 1にはMissionという項目がありますが、以下のように明確に基準が定められています。

このような定性項目だけでなく、教育スタッフが学生とのコミュニケーションにどれだけ時間を割いているか、卒業生の報酬がどれだけアップしたかなど、リアルな定量化も必要です。
全て合わせると数百にも及ぶ項目に対応する必要があり、体制やプロセスの整備、膨大な書類の整備など、スクール側の負担は相当なものとなります。
認証プロセス
そして認証プロセスも一筋縄ではいきません。
先ほどのAACSBの認証プロセスは、以下のようになっています。
1 | 申請前手続 申請意向を示す書類をAACSBに提出し、申請のための情報を入手します。 |
2 | 申請適格性の調査 スクールのミッション、リソース、継続的改善への取組などが評価されます。 |
3 | 自己評価 AACSBの基準に基づき、スクール自身が包括的な自己評価レポートを作成します。 |
4 | 申請書提出 プログラムや教員、研究などに関する詳細情報を提出します。 |
5 | ピアレビュー 専門家からなるピアレビューチームが、申請書と自己評価レポートを評価します。 |
6 | 現地訪問 チームがスクールを数日間訪問し、教員や学生との面談や施設の評価を行います。 |
7 | ピアレビューレポート チームにより評価結果や改善点等をまとめたレポートが作成されます。 |
8 | 認定決定 ピアレビューレポートを基に、AACSBの認証委員会が認証の可否を決定します。 |
9 | 継続的改善 認定後も継続的改善が求められ、ピアレビュー等で認証継続が判断されます。 |
上記ではさらっとした記載になっていますが、どれもタフなプロセスです。
最終的に認証を取得するまでには、3年から10年かかると言われ、相当なリソース投入が必要です。
一旦認証された後も、定期的に更新審査があり、基準を満たせなければ、認証が取り消されてしまいます。
高水準な教育の維持=国際認証の価値
ご覧頂いた通り、国際認証は取得するのも維持するのも非常に大変です。
手間暇かかる厳しい審査をクリアし、ハイレベルな成果を維持している証が「国際認証」なのです。
国際認証の価値はそこにあります。
ただ最近は、厳格な国際認証の価値に疑義を唱える流れも一部にはあります。
国際認証をどう考えるかは、スクールやプログラムに対する信頼性や価値をどうやって判断するか、という問題でもあります。
ご自身の納得感、対外的評価の両面をしっかり検討する必要があるでしょう。
まとめ
この記事では、MBAの国際認証の概要、認証プロセスについてお伝えしました。
この記事でお伝えしたこと
MBAの3大国際認証
認証基準と認証プロセス
国際認証の価値
*本記事の内容は、執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。各校の最新情報は必ず、スクールのウェブサイトでチェックなさってください。