MBAの出願では、職場の上司などに「推薦状」を書いてもらう必要があります。
日本ではあまり目にしたことのない推薦状。
「ただでさえ忙しい上司に、なかなか依頼しにくい」「いっそのこと自分で書いてしまいたい」
そんな風に思ってしまう方も多いのではないでしょうか?
この記事では、誰もが悩む「自分で書いた推薦状はOKか?」という問題に迫ってみたいと思います。
自分で書いてもOKか?
結論から申し上げると、「自分で書いた推薦状でOK」と断言することはできません。
一方で、「自作の推薦状で問題なく合格した」という話もよく聞きます。
要は自己判断で対応するしかないのですが、そう言ってしまえば元も子もないので、自己判断に必要な情報を以下で共有します。
私自身、推薦状には本当に苦労したので、当時こういう情報を知っておけばよかったと今になって思います。
推薦状は「第三者による客観評価」
一般的に、推薦状の機能は「主観で書かれたエッセイや経歴書の内容にCredibilityを与えること」と説明されます。
要するに、第三者が書いた推薦状によって「本人がエッセイや経歴書で主張してる事って信頼できるの?」というのを確認するわけです。
推薦状の客観性を担保するため、スクール側は推薦状提出に出願者が関わることを良しとしていません。
①推薦者からスクールに直送
まず、推薦状は推薦者から直送するよう指定しているスクールが多くあります。
スクールは、直接推薦者にコンタクトし、推薦状作成を依頼します。
推薦者は出願ポータル上に設けた推薦者用アカウントから、自身で推薦状を登録することになります。
推薦状の提出方法については、下記で詳しく説明していますので、宜しければご覧ください。
②自作推薦状を見破るアルゴリズム
また自作推薦状を見破るための方策を用意しているスクールもあります。
下記は、スクールが受験生自作の推薦状を見抜くため、どんなことをしているかを説明した記事です。
For an MBA admissions committee to compare the writing styles on your AWA essay with your application essays/recommendation letters and deduce whether the same person is the author is very easy because writing styles are distinctive.
Furthermore a lot of schools also employ checking mechanisms such as discussing the contents of the recommendations with your recommenders via teleconferencing. IP checks to see if documents have been uploaded from the same system are part of the process.
出所:https://www.quora.com/How-do-MBA-adcoms-know-if-you-have-written-or-submitted-letter-of-recommendation-by-yourself
*AWAはGMATのライティングセクション。
まず前半では、自作推薦状はAWA(GMATのエッセイパート)や出願エッセイの文章スタイルと似ているので、事務局には検知されるという警告。
さらに、推薦者に直接問い合わせたり、IPアドレスをチェックしたりもしますよ、と追加で戒めています。
アルゴリズムを使って真贋(?)を解析しているスクールもあるようです。
みんなどう対処しているのか?
アルゴリズムを使ってまで検出するということは、それだけ自作推薦状が多いという裏返しかもしれません。
実際、世界中のMBA受験生はどう対処しているのでしょうか?
①海外
まず、海外のMBA受験生の状況をご紹介します。
(「推薦状を自作しているMBA受験生がいるようだが…?」という質問に対して)
This is true, in fact the majority of the applicants wrote their letter of recommendation themselves and then got it signed by their recommenders. The reasons for this are, no one would spend time writing letters for you, so they just read it and if any changes needed, they will tell you to correct it. Most of the recommenders do not know what the universities are expecting, as different universities have different expectations.
出所:https://www.quora.com/Do-some-MBA-applicants-write-their-own-letters-of-recommendation-on-behalf-of-their-supervisors-What-are-the-chances-of-getting-caught
これはあくまでも一部の意見であることをご承知おきください。
②日本
一方、日本では下記のような事情から、推薦状作成に出願者が全く関与しないことは難しいように思います。
- 海外MBAについてなじみのある人が少ない → 海外MBAについて詳しい説明が必要
- 「推薦状」になじみのある人が少ない → 推薦状について詳しい説明が必要
- 英文への翻訳が必要 → 翻訳工程は出願者が担う必要あり
推薦者に丸投げできないとなると、現実的には以下のようなステップで「共作」するアプローチが考えられます。
- 本人と推薦者で事前擦り合わせ
- 本人が草案を作成
- 推薦者が適宜修正
- 翻訳
- 推薦者が署名して提出
1の擦り合わせが最も重要です。より詳しい説明は、下記をご参照下さい。
まとめ
推薦状は出願書類の中でも、一番厄介です。
とは言え、推薦状のせいでMBA出願に後ろ向きになるのは勿体ないと思います。
実務で多くの難題をこなしてきた45+歳世代なら、工夫してクリアできるはずです。
是非とも、前向きに取り組まれることをお勧めします。
この記事でお伝えしたこと
スクールには自作推薦状を阻止する仕組みがある
とは言え、自作推薦状の存在も示唆される
共作推薦状が一つの手段
*本記事の内容は、あくまでも執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。各校の最新情報は必ず、スクールのウェブサイトでチェックなさってください。