オンラインで海外MBA 取得後のキャリアパス 昇進?転職?起業?

オンラインMBA

「海外MBAをオンラインで取得してキャリアアップしたい」

「でも、取得後のキャリアのイメージが思い浮かばない」

そんなビジネスパーソンのために、海外経験ゼロから英国MBAホルダーになった筆者が、MBA後のリアルキャリアについて経験者ならではの観点でお伝えします。

少しでも参考になれば幸いです。    

1. 3つのキャリアオプション

海外オンラインMBA後のキャリアには、

  1. 現行キャリアの加速
  2. キャリアチェンジ
  3. 起業

という3つのオプションがあります。

オンラインMBAの人気校IEのキャリアレポートを見てみると…。

出所:IE Career Report Global Online MBA

1の「現行キャリアの加速」にあてはまる「昇進・昇格」は48%、「異動」は79%

2の「キャリアチェンジ」は20%、3の「起業」は11%となっています。

それぞれのオプションについて、具体的に見ていきましょう。

世界各地に散らばっている私のMBA時代の友人達のキャリアエピソードと合わせて、詳しくご紹介します。

2. 現行キャリアの加速

オンラインMBAではほとんどの人が、現職を辞めずに働きながら学んでいます。

なのでMBA後のキャリアで最も多いのは、

現職での実績にMBAスキルを上乗せして、現行キャリアを加速させ

というオプションです。

たとえば勤め人なら昇進・昇格、経営者なら事業拡大・新規分野への参入などです。

University of Florida Warrington College of BusinessディーンであるSaby Mitra氏も下記のように言っています1

“If you want to make faster strides in the career that you have, then an online MBA makes much more sense,”

MBA後にキャリア加速を体現した友人はたくさんいますが、そのうちの何名かをご紹介します。

・昇格の条件が「MBA」

まずは、マダガスカル出身でIT勤務のパリジェンヌ。

マダガスカルは元フランス領なので、彼女の母語はフランス語。

英語にはあまり自信がないらしく、とてもシャイな女性でした。

キツい訛りの英語でも堂々と話す非ネイティブが多い中、控えめな彼女と私は互いにシンパシーを感じ、色々と悩みを打ち明けあったりしていました。

彼女の場合、目指すポジションへの昇進要件が「MBA取得」でした。

ライバルも多かったようですが、自分の担当プロジェクトをマーケティング面から多角的に分析した修士論文を仕上げ、無事、昇格を果たしました。

今もパリで仕事に燃えているようです。

別の友人、ベンツ社のPR担当をやっていた台湾ガールは、パリジェンヌとは逆のパターンでした。

台湾ガールの場合は、既に上級職への昇進が内定していたのです。

そのポジションにはどうしても「MBA」が必要!という事で、社費でMBAに参加していました。

ベンツ社からの「最速で卒業するように!」との厳命どおり、スムーズにMBAを取得したのち、どんどん昇進し、今はドイツ本社勤務です。

毎冬、北海道のニセコでスキーを楽しむという日本通でしたが、ドイツ栄転後はドイツでスキーを楽しんでいるようです。

こういう話を聞くと、「いやいや、日本とは事情が違う」と思う方も多いでしょう。

文科省の資料によると、米国の上場企業の管理職の約4割はMBA取得者である一方、日本では大学院(MBAに限定しない)を出た役員自体が1割以下2しかいないとのことです。

出所:文科省「経営系大学院を取り巻く現状・課題について」
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/07/19/1419265_006.pdf

この資料から読み取れることは、現在の日本の経営層にはMBAホルダーが少なく、MBAの有用性が深く認識されていない可能性があるという事です。

なので自費でMBAを取り、社内で昇進・昇格したいと考えるなら、現職の上司、人事担当者などとの目線合わせが非常に大事になってくると思います。

在学中も学習の進捗を共有し、MBAで何を学び、それをどう社内で活用するか、将来的にどんな貢献ができるかについて、明確に説明できるようにしておくことが大切だと思います。

・自営なら事業拡大

MBAには、Self-employed、つまり自営/経営者の学生も多くいます。

彼らの場合の「現行キャリアを加速」とは、自らのビジネスの拡大や新規開拓新しいビジネス展開などになります。

私のクラスにも法律事務所を経営するギリシャ人がいましたが、MBAで身に付けた高度なマネジメント力のお陰で、念願のグローバル展開を成功させたようです。

また、タンザニアで国立公園ツアーがメインの旅行会社を経営している友人は、修士論文のテーマにも選んだ「海外観光客の倍増計画」を、今まさに実践中とのことです。

既に成功を収めている日本の経営者の中でも、海外ビジネスに際してMBAの必要性を痛感したり、経営を更に進化させるためMBAスキルを身につけたい、と考える方々も多いと思います。

忙しい中でも自分のペースで学べる海外オンラインMBAは、そういった方々にぴったりだと思います。

3. キャリアチェンジ

二番目のキャリアオプションはキャリアチェンジです。

つまり、MBA取得を契機に、現職とは全く違う新しいキャリアに挑戦するパターンです。

海外オンラインMBAでは、会計/ファイナンス/データ分析/マーケティング/組織行動学など、どのビジネス領域でも必須のマネジメントスキルを学びます。

更にはグローバルな環境での課題対応力も身に付きます。

これらは異業種への転職の際、自らのポテンシャルを示す大きなアピールポイントとなります。

ここでは僭越ながら、私のキャリチェンジについてリアルなお話をさせて頂こうと思います。

・「働く+学ぶ+転職活動」

転職活動を始める時期は、人それぞれです。

在学中から”MBA candidate”として、LinkedInやスクールのAlumni(アルムナイ、卒業生組織)でネットワーキングするのも一般的です。

私の場合、卒業まで1年近くある時期に、無謀にも転職先を決めないまま、当時の職場を退職しました。

その後はフリーランスとして細々と働きながら、勉強+転職活動を行う生活でした。

自分の価値を発揮できそうと思える企業や団体にアプローチしましたが、とにかく全敗。

書類選考で落ちたり、役員面接まで行ってダメだったり…。

私の場合、「元専業主婦で華々しい経歴は無い」、そのうえ「MBAの勉強+家族へのコミットで時間的拘束が大きい」となれば、どの組織もウェルカムのはずはありません。

自分でもその事は理解していたつもりでしたが、さすがに立て続けの不採用は精神衛生上にも良くなかったです。

なので、思い切って3~4か月ほど、完全に転職活動を止めることにしました。

フリーでの仕事やMBAの勉強自体は楽しかったので、転職へのモチベーションが戻るまで、その2つに専念することにしました。

・捨てる神と拾う神

季節が変わった頃、心機一転。

転職活動を再開すると、こんな私でも拾って下さる企業が現れ、窮地を脱しました。

まさに「捨てる神あれば拾う神あり」です。

面接ではMBAについて全く質問されませんでした。「こんな会社もあるんだな」と驚きました。

入社後は、予想以上に色々と機会を与えて頂き、MBAでの学びを存分に活用できました。

人材ニーズは企業ごとに千差万別。タイミングによっても変わります。

自分の価値が生かせる場が見つかるまでトライして良かったと実感しています。

・メンタルケア

とは言え、私のように何度も転職経験がある者でさえ、やはり勉強と並行しての転職活動では心身が疲弊しました。

特に「自分の価値を上手く伝えられたし、手ごたえも良かった」と思えた案件で、「不採用」になるとかなりのダメージです。

私が思い切って転職活動を小休止したのは、心身のダメージが勉強にも家族にも悪影響を与えると思ったからです。

そのリハビリ期間が功を奏したのか、活動を再開後、一番最初にアプローチした企業で採用が決まりました。

キャリアチェンジが初めてと言う方は特に、メンタルケアには十分、注意を払ってください

個人的には、「何が何でもXXX業界」「絶対に年収XXX万以上」などとこだわり過ぎず、柔軟に対応することをお勧めします

上司、友人、家族、転職エージェントなど、親身に相談に乗ってくれる方がいると心強いと思います。

4. 起業

さて、私のキャリアチェンジを赤裸々にお伝えした後は、最後のキャリアオプション「起業」についてご紹介します。

MBAにはアントレプレナーシップのカリキュラムもありますので、起業を志して入学する学生はたくさんいます。

オンラインMBAにはあらゆるバックグラウンドの教員や学生がいますから、ビジネスプランについて助言をもらったり、ネットワークを紹介してもらったりなど、起業には最適な環境だといえます。

そんな人々の実例を、私の友人の中からピックアップしてみます。

・アントレプレナーたち

最初は、タイ出身で米国ニュージャージー在住の小児科医です。

グループワークで時々一緒でしたが、駆け出しの小児科医としてかなりの激務ぶりで、MBAの勉強は主に当直(夜勤)の合間にしているようでした。

彼のキャリアゴールは、アントレプレナーとして故郷で小児科専用施設を建設・運営することです。

MBA取得をステップとして、現在は、米国の総合病院でマネジメント職に昇進し、病院経営の実務を学んでいる最中です。

2人目は、故郷の南アフリカでキノコ農園を開きたいというドバイの金融マンです。

修士論文はもちろん「南アフリカでのキノコビジネス」についてで、修論の枠組みでフィージビリティスタディも済ませていました。

コロナで計画が大幅に狂ったようですが、夢に向けて着実に進んでいるようです。

3人目は、夫妻で運営している「夫婦の夜のお悩み相談」というブログのコンテンツをビジネス化したい、というアフリカの会計士さん(国名は忘れてしまいました!)。

何でも、趣味で始めたそのブログが国内で大人気になっているそうで、ビジネスとしての潜在ニーズは極めて高い、会計よりこっちの方が社会に貢献できると熱弁していました。

最後は、友人が作ったロボット開発のスタートアップでMBAホルダーを探しているので卒業後にジョインする、と言っていたスイス大手製薬会社のマネージャー。

高報酬を投げうっての転身でしたが、その後はあまり音信が無く、どのくらい活躍しているのか私には正直よく分かっていません。

ひょっとしてまた別の事に挑戦しているのかもしれません。

・どんなビジネスにも役立つ

病院経営、キノコ農園、夜のお悩み相談、ロボット開発…。

クラスメートたちはMBAで習得した経営スキルを武器に、これらの新しいビジネスに果敢に飛び込んでいきました。

どんな領域のビジネスを志すにしてもMBAでの学びはきっと役に立ちます

キャリアビルディングにおいてMBAが常に人気なのは、これが理由なのですね。

まとめ

この記事では、オンラインMBAの卒業後のキャリアについて、友人や私自身の実例をベースに説明させて頂きました。

オンラインなら働きながら学べます。

一人でも多くの方がMBAの学びを生かして、望むキャリアに進んで頂きたいと思います。

この記事でお伝えしたこと

オンラインMBAの卒業後のキャリアオプションは3つ。

①現行キャリアを加速 ②キャリアチェンジ ③起業

どのビジネスでも役立つ経営スキルを学べるMBAはキャリアビルディングに最適

*本記事の内容は、あくまでも執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。

  1. https://fortune.com/education/articles/online-mba-versus-traditional-mba/ ↩︎
  2. https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/07/19/1419265_006.pdf ↩︎