最近増えているハイブリッドMBA。
普段はリモートですが、年に数回のキャンパス講義が組み込まれたプログラムです。
いわば、リモートと対面の良いとこどり。
この記事では、ハイブリッドMBAの概要、メリット、デメリットなどをお伝えしたいと思います。
実際のスクールでのアクティビティも紹介しますので、皆様のスクール選びの参考になれば嬉しいです。
フルリモート型 vs ハイブリッド型
「オンラインMBA」とよばれるものには以下の2つがあります。
①フルリモート:リモートで完結 渡航の必要なし
②ハイブリッド:リモート+対面 渡航の必要あり
②は、Hybrid MBA、Flex MBA、Flexible MBA、Blended MBAなどと呼ばれ、今、大変人気となっています。
Financial Timesによると、コロナ禍でオンラインMBAが急増したものの、対面でのネットワーキングに対するニーズも根強く、オンライン+対面のハイブリッド型を選ぶビジネスパーソンが多くなっているようです。

では、このハイブリッド型MBAはどういう仕組みになっているのでしょうか?
ハイブリッドMBAのしくみ
ハイブリッドMBAは、
①リモートパート
②対面パート
の2つで成り立っています。
②の割合がほとんどなく、ほぼフルリモートに近いスクールもあれば、学生自身の選択によって最大70%を対面にできるスクールもあります。
①については別記事でまとめていますので、ここではハイブリッドの特徴である②対面パートについてご紹介します。
WHAT?~対面で何をするのか?
対面パートは、”Immersion”、”Residency”、”Residential”、”Intensive”などと呼ばれ、下記のようなメニューが見られます。
コースワーク:集中講義、グループワーク、企業プロジェクトなど
キャリアサポート:各界リーダーの講演、卒業生とのネットワーキング、1on1コンサルテーションなど
リフレッシュ:クラス旅行、スクールフェア、スポーツ観戦など
様々なバックグランドのクラスメートたちとキャンパスで色々と議論を戦わせるのは、とてもエキサイティングな機会だと思います。
どのスクールでも対面パートに対する学生の事後評価は高いようです。
現地参加が絶賛推奨されていますが、学生の様々な事情を考慮して、任意参加としたり、バーチャル参加を許容するスクールもあります。
WHEN?~対面の時期や頻度は?
そのスクールがどれだけ対面を重視しているかによって、「全過程を通して2回」「1学期毎に4回」など色々なパターンがあります。
期間も、週末の3日間(金・土・日)、平日5日間(月~金)など様々です。
日時は入学時点で既に確定しているスクールもあれば、学期ごとにアナウンスされるスクールもあります。
いずれにせよ、所定の期間、仕事と家庭を離れなければなりませんので、職場や家族との綿密な調整が必要となりますね。なかなか大変です…。
HOW MUCH?~対面の費用は?
日本からの渡航費、現地交通費、宿泊費、食費、その他生活費が必要です。
中には、学生寮や近隣ホテルを紹介してくれたり、宿泊費や食事が学費に含まれているスクールもあります。
ImmersionやResidencyはプログラムの一環なので、受講料自体は学費に含まれています。そう考えると、なるべく現地参加して、元を取るという考え方もあるかと思います。
ハイブリッドMBAのメリットとデメリット
ハイブリッドMBAについて、ざっくりご理解いただけたでしょうか?
ハイブリッドMBAのメリットとデメリットをまとめてみました。
メリット
ハイブリッドMBAは、良いとこどりのプログラムと言われます。
オンラインの効率性を最大限に生かしつつ、対面ならではのチームビルディングやネットワーキング、ハンズオン体験を得ることが出来ます。
独習だとモチベーションが低下しがちな方にとっては、face-to-faceでの交流は気分の切り替えにもなります。
世界各地から集まってくる志の高い仲間たちとの短期集中型のネットワーキングでは、強い絆が生まれます。
ハイブリッド型のメリット
オンラインの効率性+対面のハンズオン体験の両方が得られる
face-to-faceの繋がりがモチベーション低下を防いでくれる
短期集中型のネットワーキングで強い絆が生まれる
デメリット
一方で日本のWorking Professionalにとっては、デメリットもあります。
まずは費用です。
前述の通り、渡航費、現地交通費、宿泊費、食費などを基本的には自腹で払う必要があります。
また指定された日程で(年に2回、学期末ごとなどスクールによって様々)、渡航しなければなりませんので、仕事やプライベートとの兼ね合いが難しい方もいらっしゃるかと思います。
ハイブリッド型のデメリット
渡航費などの費用がかかる
渡航のために仕事やプライベートを調整する必要がある
実例① Carnegie Mellon University(米国)
”Hybrid Online MBA”
ハイブリッドMBAのメリット、デメリットはご理解いただけたでしょうか?
ここからは、実際のプログラムを詳しく見て頂きたいと思います。
最初にご紹介するのは、Carnegie Mellon University。オンラインMBAランキングでは常に上位の名門校です。
同校には3つのMBAプログラムがあり、その一つが”Online Hybrid MBA”です。
学生のプロファイル
Carnegie MellonのOnline Hybrid MBAにはどんな学生がいるのでしょうか?

Synchro, Asynchro, Access Weekends
ではCarnegie Mellonのハイブリッドプログラムの中身を見ていきましょう。
カリキュラムは、3つのモードで設計されています。
Synchronous(リモート、リアルタイム)
75分、週2回のライブ講義。タイムゾーン(西海岸、東海岸)を考慮。
Asynchronous(リモート、オンデマンド)
デジタルテキスト+録画講義+補足資料。自分のペースで学ぶ。
Access Weekends(対面)
①Academic Access Weekends:コア科目のキックオフ。ワークショップもあり。リモート参加可能。
②Experiential Access Weekends:2/3年目のスタート時。コンテストやハッカソンなどイベントあり。
Carnegie Mellonの一流教員と直接交流できるAccess Weekendsは、このプログラム最大の売りで、紹介動画も用意されています。
学費は?
このハイブリッドMBAでは、フルタイムMBAと同じ教員が担当するため、クオリティの高さが人気です。
それがそのまま学費に反映され、非常に高額のプログラムとなっています。
上記Access Weekendsの宿泊費、食費、キャンパスーホテルの交通費も、この学費に含まれています。
事例② Oxford Brookes University(英国)
次にご紹介するのが、英国のOxford Brookes Universityです。こちらもオンラインMBAランキングの常連校です。
Global MBAというハイブリッド型のプログラムがあり、フルタイムMBAはありません。
学生のプロファイル
一般的に、英国を含め欧州のMBAプログラムは、米国に比べて学生の多様性が高いです。

Oxford Brookesでも、学生の国籍は70か国、年齢層も24-65歳と多様なバックグラウンドのworking professionalが集まっていることが分かります。
On-line + On-campus
Oxford BrookesのGlobal MBAのカリキュラムは、”On-line”と”On-campus”という2つの要素に分かれています。
On-line(ライブ&オンデマンド)
独習がメイン。ライブ講義は4回/科目(3か月)。録画されるのでオンデマンド視聴可能。
On-Campus (対面)
Intensiveと呼ばれるキャンパスでの集中講義(6日間)。
自由にデザインできるカリキュラム
カリキュラムの7割がOn-line、On-campusの両モードで提供されており、科目ごとにどちらかを選択できます。
全てをリモートで終えることも可能ですし、特定の科目については現地でみっちり講義を受けても構いません。
このフレキシビリティが同校の最大の特徴です。
学費は?
Oxford Brookesの学費は£18,950で、英国のオンラインMBAの中でもかなりリーズナブルです。
On-campus参加時の交通費、食費などは学費でカバーされていませんので、別途、準備する必要があります。

まとめ
この記事では、リモートと対面を組みわせたハイブリッド型MBAについてご説明しました。
Carnegie MellonとOxford Brookesの例からお分かりいただける通り、ハイブリッドMBAといってもスクールによってカリキュラムは全く違います。
カリキュラム内容はプログラム名やウェブサイトだけでは確認できないことも多くあります。
できるだけ早い段階で、志望校のアドミッションオフィスに直接、確認なさることをお勧めします。
この記事でお伝えしたこと
ハイブリッドMBAの概要、メリット、デメリット
実例① Carnegie Mellon UniversityのハイブリッドMBA
実例② Oxford Brookes UniversityのハイブリッドMBA
*本記事の内容は、あくまでも執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。各校の最新情報は必ず、スクールのウェブサイトでチェックなさってください。