自分のキャリアは自分で切り拓いて行く時代。オンラインで海外MBAに挑戦する方が増えています。
海外オンラインMBAの出願には、レジュメ、CV(英文履歴書)を提出しなければなりません。
ここではMBA用レジュメの書き方を分かりやすく説明し、私自身も活用したシンプルなテンプレートもご紹介します。

1. レジュメ、CVとは?
・機能はスクリーニング
MBA出願におけるレジュメ(欧州ではCVと呼ぶスクールも多い)は、出願者の学歴、職歴などを簡潔にまとめた書類です。
出願に必要な書類は5つありますが、レジュメの機能は主にスクリーニングです。
スクールへの問い合わせを始めたばかりの初期段階でも「とりあえずレジュメを送って」と言われることもあります。
・日本の履歴書との違い
日本の「履歴書」とはかなり違うので、まずは両者の違いについてご説明させて頂きます。
今すぐMBA用レジュメの書き方を知りたいという方はこちらに進んで下さい。
①定型フォーマットが無い
日本人なら「履歴書」と聞けば、下記のような書面を思い浮かべるのではないでしょうか?
これらの厚生労働省やJISによる定型フォーマットで、記載項目やレイアウトが決まっているので、ある意味、作成にはそれほど手間はかかりません。

一方、海外のレジュメは定型フォーマットは無く、フリースタイルです。
何をどのように記載するかは本人の判断次第です。
たとえばデザイナー職への応募だと、グラフィックを多用してセンスをアピールするなど目的に合わせてカスタマイズするのが普通です。

ただMBAのレジュメは、オーソドックスなフォーマットが好まれます(詳しくは後述します)。
下記はLondon Business Schoolが、MBA出願者および在籍生の就活用に提供してくれているテンプレートです。
こちらで入手できます。

②達成した業績を降順で記載
レジュメでは経験業務を淡々と書くのではなく、「何を達成したか」「どんな風にリーダーシップを発揮したか」にフォーカスするのが特徴です。
また、最新の業績から過去へと降順で記載するのも日本式とは異なる点です。
特にMBAのレジュメでは、現在までの成長の軌跡を伝え、今後のポテンシャルに期待を持ってもらうことが重要なので、将来のパフォーマンス予測に最も役立つ直近の業績を濃いめに書きます。
③生年月日や性別は記載不要
欧米のレジュメでは、基本的に生年月日や性別などの個人情報は記載不要です。
本人のコントロールできない属性に基づいた選考は禁止されているからです。
MBA出願では写真貼付も求められません。
2.レジュメの書き方
以上で、海外のレジュメと日本の履歴書との違いをご理解いただけたでしょうか?
ここからはMBA出願用のレジュメの具体的な書き方をご説明していきたいと思います。
・10 秒も見てもらえない
人気校だと1人分のレジュメを見る時間は10秒もないと言われています1。
従って1-2ページに簡潔にまとめることが何より大事です。
スクールによっては「必ず1ページに収めるように」と指定されることもあります。ご注意なさって下さい。
・フォーマット
フォーマットとは、文書を読みやすくするために見栄えや体裁を整えることです。
英文の文書ではフォーマットが非常に重視されます。
MBA用レジュメとしてよく推奨されているのは、以下のようなフォーマットです。
- フォントは視認性の高いTimes New Roman, Arial, Helvetica
- 文字サイズは10-12ポイント
- マージンは1.25-1.50cm (約0.5インチ)
Yale Universityの推奨フォーマットとチェックリストも合わせてご参考になさって下さい。
Yale Universityの基本フォーマット

Yale Universityのフォーマットチェックリスト

出所:Yale University ”Resume Writing Guide”
・お勧めの構成
さてフォーマットについてご理解いただけたでしょうか?
ではいよいよ中身についてご説明したいと思います。
前述の通り、レジュメはどのように構成しても良いのですが、下記のようなシンプルな4セクション構成がお勧めです。
- Contact:氏名、連絡先
- Experience:職歴
- Education:学歴
- Additional Information/Personal:上記以外の情報
「1. レジュメ、CVとは?」でご紹介したLondon Business Schoolも、この構成です(2.職歴と3.学歴の順序が入れ替わっていますが)。
私自身もこの4セクション立てにしました。
以下では、各セクションの具体例と作成ポイントを詳しくご紹介します。
具体例の画像をご覧頂く際は、フォント、ボールド(太字)、イタリック(斜字)、インデントなどのフォーマットにも是非、ご注意なさって下さい。
2-1. Contact
・具体例と作成ポイント
スクールからの連絡を受けるための連絡先として、最上部に中央寄せで配置するのが一般的です。
少なくともフルネーム、e-mail、電話番号は記載します。
電話番号には、日本の国番号+81を付すのを忘れないようになさって下さい。

下記のように、LinkedInのアカウントをお持ちの方は是非記載なさって下さい。
ただLinkedInのプロフィールとレジュメに矛盾がないことは必ずご確認下さい。

2-2. Experience
Contactの次に配置されることが多いのは、Experienceセクションです。
Work Experience, Professional Experience、Business Experienceとも呼ばれます。
bullet pointとよばれる黒丸(・)を使って、職歴を端的に箇条書きにします。
淡々と強弱をつけずに書くのではなく、些末な内容は思い切って削り、重要事項をハイライトするのが最大のポイントです。
前述した通り、直近の業績を特に詳しく、降順で記載していきます。

ちなみに同一企業で昇進した場合は、下記のように記載できます。肩書とその期間がイタリックになっていることにもご注目ください。

レジュメのコアとなる部分ですので、下記のように多くの留意点があります。
- 企業名には所在地とビジネスの簡単な紹介を添える(国際的知名度が低めの企業の場合は特に)
- ”Action/Power verb”の過去形で書き始める
- 可能な限りデータ(数値、固有名詞など)を明示
- 「達成した成果」にフォーカス
- Transferrable skill(汎用スキル)とよばれる「リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーション力」などにフォーカス
Action verbはPower Verb、とも呼ばれ、行動や成果を表す力強いイメージの動詞を指します。
MBAのレジュメで使われるのは、Accelerated, Accomplished, Achievedなどで、業績を際立たせる役割を果たします。
Yale Universityの”Resume Writing Guide”には、Action verbリストがありますので、是非ご参考になさって下さい。
2-3. Education
Educationは、これまでに受けた教育について記載するセクションです。
大学だけでなく、業務に関連したプロフェッショナル教育もアピールできます。
下記は、国際的に認知されたCFAという機関での教育経験を記載した例です。

下記のようにサマースクールの経験なども記載することが出来ます。

日本の企業では社外教育の機会は少ないかもしれませんが、記載内容に決まりは無いので、選考に有利な経験があれば、遠慮せず書いてみることをお勧めします。
2-4. Additional Information(Personal)
最後のAdditional InformationはPersonalセクションとも呼ばれ、文字通り自分のパーソナルな面を紹介するセクションです。
Yale Universityは、このセクションの役割を下記のように述べています。
This section not only exhibits your enthusiasm to learn new things but also helps in sketching your personality
beyond the work environment. Source:Yale University ”Resume Writing Guide”
London Business Schoolでは下記のような記載例を紹介しています。

スポーツや地域活動、ボランティアなどの経験や、仕事以外での受賞歴、資格などがあれば記載なさると良いと思います。
1-2枚という制限枚数に収まる限り、アピールできることはしっかり盛り込むようになさって下さい。

3.Unofficial review
・Unofficial reviewとは?
前述の通り、MBA出願におけるレジュメの機能はスクリーニングです。
オンラインMBAの場合、スクールとのファーストコンタクトの段階でも「とりあえずレジュメを送って」と言われることがよくあります。
大抵、数日内に”Unofficial review”としてレジュメについてのフィードバックがもらえます。
フィードバック内容はスクールによって様々ですが、抜け漏れや修正点が分かったり、実際にそのスクールに出願するかどうかの感触もつかめます。
・Unofficial reviewの活用
気になるスクールがある方は、是非レジュメを早めに作成し、Unofficial reviewで具体的なフィードバックをもらうことをお勧めします。
スクールからレジュメ送付の誘いがなくても、こちらから「レジュメを送るからレビューしてフィードバックをもらえないか?」と依頼してみるのも良いかと思います。
欧米のビジネススクールは出願者を”Potential Customer”と考えているため、顧客情報の入手機会でもあるレジュメのレビューを断るスクールはあまり無いと思います。
4. まとめ
この記事ではレジュメ作成について、スクールでの実例を挙げながら詳しくご説明しました。
ただオンラインMBAの場合、レジュメとして一つの文書にまとめるのではなく、出願用ポータル上の「職歴」欄、「学歴」欄にそれぞれ入力していくというケースもあります。
その場合でも当記事に記載したポイントは参考になると思いますので、お役立てください。
英文での出願について不安がある方は、下記のトップアドミットなど専門サービスに相談なさることもご検討なさってはいかがでしょうか?

*当記事は執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。最新情報や詳細については必ずご自身でのご確認をお願いいたします。
- https://www.mba.com/how-to-apply/apply-to-programs/how-to-write-an-mba-resume/ ↩︎