「オンラインでMBAを取っても意味ない」という議論を時々耳にします。
しかし、実際のところはどうなのでしょうか?
筆者自身、元専業主婦ながら45歳を過ぎてオンラインで海外MBAを取得。プライム企業管理職&ソーシャルスタートアップというパラレルキャリアを実現することができました。
そんな経験を元に、海外オンラインMBAの可能性について考えてみたいと思います。

1. 海外オンラインMBAのメリット
海外オンラインMBAのメリットは、ざっくり分けると3つあると思います。
- 国際的な認証と高い評価
- グローバルな視点とネットワーク
- 働きながら学べるフレキシビリティ
それぞれについて見ていきたいと思います。
1.1 国際的な認証と高い評価
海外オンラインMBAには、AACSB、AMBA、EQUISなどの国際認証を受けたプログラムが沢山あります。
欧州のスクールの中には、上記3つすべての認証を受けたトリプルクラウンと呼ばれるスクールもあります。
国際認証は、そのプログラムが世界水準の教育を提供していることを示す重要な指標となり、認証の無いプログラムと比べて高い評価に繋がります。
日本のMBAプログラムでこれらの認証を持つものは非常に限定的で、残念ながらオンラインで提供されているものはありません。
従って国際的に通用するオンラインMBAを目指すなら、海外プログラムを選択なさることをお勧めします。
1.2 グローバルな視点とネットワーク
オンラインMBAはいつでもどこでも学べるため、世界各国から多様な学生が集まってきます。
学生の多様性はフルタイムMBAより遥かに高く、仕事上ではまず出会えないような人々と繋がることができます。
これにより異文化理解力や柔軟な思考力、真にグローバルな視点を養うことができ、国際的なビジネス環境で活躍するための重要な資質となります。
また、仕事と学びを両立した仲間達とのグローバルネットワークもかけがえのない資産となり、将来のキャリアで大いに活用できると思います。
1.3 働きながら学べるフレキシビリティ
海外オンラインMBAの更なる利点は、仕事を続けながら国際標準のビジネスを学べるフレキシビリティです。
これにより、学びを即座に実務に適用でき、理論と実践を効果的に結びつけることができます。
また、収入を維持しながら学べるため、経済的なリスクを最小限に抑えられることも有難い特徴です。
私自身、仕事&家庭&勉強のバランスをとりながら楽しんで勉強することができましたし、得た知識やスキルをすぐに実務で活用することによって、スピーディーな昇進にも繋がりました。
2. よくある疑問
次に海外オンラインMBAに対するよくある疑問や懸念について考えてみたいと思います。
たとえば、以下のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
- 対面より質が劣るのでは?
- 価値は正当に評価されるのか?
- かなりのコストがかかるのでは?
- 働きながらだと時間がかかるのでは?
これらもひとつひとつ確認していきたいと思います。
2.1 対面より質が劣るのでは?
よくある疑問:オンライン学習は対面学習に比べて質が劣るのでは?
回答:確かにオンラインは対面に比べて学習濃度が低くなってしまうのは否めません。しかし国際認証を受けたプログラムの場合、オンラインでも対面と同等の質が保証されています。最新のテクノロジーを活用した双方向的な学習環境や、柔軟な学習スケジュールにより、むしろ効果的な学習が可能になっている場合も多いです。また、オンライン学習は自己管理能力や時間管理スキルの向上にも寄与し、これらは現代のビジネス環境で非常に重要なスキルです。得られる学位”Master of Business Administration”は、オンラインでも対面でも全く同じで、学習モードによる学位の違いはありません。
2.2 価値は正当に評価されるのか?
よくある疑問:日本では海外オンラインMBAの認知度が低く、その価値が正当に評価されないのでは?
回答:確かに日本で「MBA」というと、ハーバードや早稲田などの対面プログラムが主に認知されており、海外オンラインMBAの認知度や存在感はまだまだ低いのが現状です。しかしコロナ渦後の急速なデジタル化で、今後オンラインの海外MBAホルダー増加は確実です。その実績が積み重なれば、日本企業での評価も向上していくことが期待されます。特に海外とのオンライン会議が多いグローバル企業では、オンラインで培ったたスキルセットの価値は大いに認められる可能性が高いでしょう。たとえば私はUniversity of Leicesterという日本で馴染みが薄いスクールでオンラインMBAを学んだのですが、その価値評価に不明確な部分があるのは否めません。そこで私は、自分が出来る事を常に具体的に可視化し、アピールするようにしています。肩書ではなく、身につけたスキル自体で正当に評価してくれる人や組織を選ぶ事も大切だと思います。
2.3 かなりのコストがかかるのでは?
よくある疑問:オンラインとはいえ、やはりかなりのコストと時間がかかるのでは?
回答:確かに投資は必要ですが、フルタイムよりかなり低コストです。しかも得られる学位はフルタイムと同等なので、学位の点から見れば割安とも言えます。また働きながら学べるため、機会費用を抑えることができます。長期的なキャリア発展と収入増加の可能性を考えると、十分に価値のある投資といえます。もちろん個人差があるとはいえ、多くの場合、MBAで得られるスキルや知識、ネットワークは、投資額を上回る価値をもたらしてくれると思います。私の場合は2年で200万台の出費でしたが、キャリアアップにより投資分はすぐに回収できました。
2.4 働きながらだと時間がかかるのでは?
よくある疑問:働きながらだと時間がかかるのでは?
回答:確かに、働きながらのMBA取得には時間がかかります。とはいえ、オンラインMBAはそもそも仕事との両立を前提としたプログラム設計になっています。教材がすべてオンラインなのはもちろんですが、細切れの時間で学べるよう、学習ユニットが10分程度に区切られていたり、週末を十分活用できるよう課題の提出は週明けに設定されていたり、など随所に様々な工夫があります。大概5~7年くらいは卒業までの猶予があります。またオンラインMBAを通じて培われた自己管理能力や時間管理スキルは、現代のビジネス環境では非常に価値があると思います。
3. 海外オンラインMBAの真の価値
3.1 グローバルスタンダードの経営知識
海外オンラインMBAでは、グローバルスタンダードともいうべき経営理論や最新のビジネスプラクティスを学ぶことができます。
これは、グローバルな視点で経営判断を行う上で非常に重要です。
特に欧米企業の管理職にはMBAホルダーも多く、彼らと同等の経営知見を身につけることで対等な議論をすることが可能となります。

3.2 キャリアの転換と成長
MBAで培った分析力や戦略的思考力は、業種や職種を選ばず、あらゆるビジネスで役に立ちます。
従って海外オンラインMBAを取得することにより、新しい業界への転職、起業、あるいは現在の職場でのキャリアアップなど、様々な可能性が開かれます。
私のような45歳以上のミッドキャリア層にとっても、新たなキャリアステージに進むための強力なツールとなると思います。
3.3 リーダーシップとマネジメントスキルの向上
海外オンラインMBAプログラムでは、理論的知識だけでなく、実践的なリーダーシップとマネジメントスキルを養うことができます。
グループプロジェクトや事例研究を通じて、多様な背景を持つ人々と協働する経験は、グローバルリーダーとしての資質を磨く上で非常に価値があります。
これらのスキルは多国籍のチームを率いる際や、クロスカルチャーな環境でのプロジェクト管理に直接に活かすことができます。
私自身、タイムゾーンが見事にばらばらのメンバーとのグループワークでリーダーを務めたことがあります。
かなり苦労はしましたが、「寛容と自律」がプロジェクト成功のカギだと身をもって実感し、それが今でも折々に役立っています。
4. 海外オンラインMBAを最大限に活用するために
働きながらMBAを取るのは誰にとってもチャレンジです。
そのプロセスと成果を最大限に活用するためのエッセンスを以下のようにまとめてみました。
- 明確なキャリア目標を設定し、それに合ったプログラムを選択する
- 学んだ知識を積極的に実務に適用し、その価値を実証する
- グローバルなネットワークを構築し、それを長期的なキャリア資産として活用する
- 継続的な学習と自己成長の姿勢を維持する
- MBAで得た知識やスキルを、日本のビジネス環境に適応させる方法を考える
海外オンラインMBAは、グローバルキャリアを目指す日本人ビジネスパーソンにとって、非常に価値のある選択肢です。
確かに、投資や時間の面での課題はありますが、自律的なキャリア構築と個人の成長という観点から見れば、その価値は十分にあると思います。
最後に、海外オンラインMBAの真の価値は、それを通じて得た知識やスキル、ネットワークを、いかに自分のキャリアや人生に活かすかにかかっています。
意欲的に学び、積極的に実践することで、海外オンラインMBAは「意味ある」経験となり、グローバルキャリアの扉を開く鍵となるでしょう。
是非、挑戦なさってみてください!
*この記事は執筆時点での筆者のリサーチにもとづいています。情報の正確性には細心の注意を払っていますが、内容の最新性や完全性を保証するものではありません。