グローバル人材の強化やリスキリングで注目される海外MBA。
フルタイムとオンラインの2つがありますが、どちらを選ぶべきなのでしょうか?
この記事では、時間/費用/仕事/住まいという4つのコミットメントを軸としてフルタイムvsオンラインを徹底比較してみました。

学位は同等
まず最初にお伝えしたいのは、フルタイムでもオンラインでも得られる学位は同等です。
毎日キャンパスに通って得る学位と、日本で働きながら得る学位が同等というのは意外に思われるかもしれません。
ところが実は、両者はデリバリーモードが違うだけで教育カリキュラム、教育の質は同等と見なされているのです。
オンラインMBAでも、学位授与書(Diploma)に「オンライン取得」といった断りが入るわけではありません。
履歴書やLinkedInのプロフィール欄でも”MBA”と書くだけでOKです。
下記は私の卒業証書ですが、学位名は単に”Master of Business Administraion”となっています。
ちなみに成績評価が70%以上ならWith Distinction、60-69%ならWith Merit、50-59%ならPassと記載されます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
必要なコミットメントの違い
フルタイムMBAとオンラインMBA。
前述の通り学位としては同等でも、必要とされるコミットメントは大きく違います。
フルタイムvsオンライン コミットメント比較
形態 | 住まい | 仕事 | 時間 | 費用 |
海外フルタイムMBA | 転居 必要 | 休職 転職 | 固定スケジュール 45-50時間/週 | 学費、生活費など 1千万~ |
海外オンラインMBA | 転居 不要 | 継続 | 自分のペース 15-20時間/週 | ほぼ学費のみ 1百万~ |
以下で詳しく見ていきたいと思います。
①住まい
・フルタイムMBA
フルタイムMBAの場合、キャンパスでの講義が前提ですので現地への転居が必要です。
家族がいらっしゃる場合だと帯同するかどうかという選択も迫られます。
ハーバードのようにキャンパス内にレジデンスがあるスクールは別ですが、大抵は住居探しから始まります。

・オンラインMBA
一方、オンラインMBAは「働きながら学ぶ」のが前提のプログラム。
キャンパス通学の必要がないので、転居は不要です。
最近人気のハイブリッドMBA(リモート+対面)については、こちらの記事をご覧ください。
②仕事
・フルタイムMBA
フルタイムMBAとは文字通り、「フルタイムで学生をやる」ということです。
従って現職を休職、あるいは退職して臨むことになります。
とは言え、University of North CarolinaのBradley Staats教授によると、フルタイムMBAは違う業界へのキャリアチェンジに非常に有益1としており、現職にこだわらない方にはうってつけです。
キャリアを中断しても余りあるベネフィットを期待できるのがフルタイムMBAと言えます。
・オンラインMBA
転居を伴わないオンラインMBAは、現キャリアを中断する必要はありません。
日本での勤務を続けながら卒業することが可能です。
University of FloridaのSaby Mitra教授は、こう言っています。
”…the online schedule is best for people who intend to continue working in their same field post-MBA.”2
つまり現職での昇進・昇格や、同じ業界でのキャリアシフトなどに向いているのがオンラインMBAと言えます。
③時間
・フルタイムMBA
フルタイムMBAは対面の講義なので、固定された時間割に沿って教室で授業を受けることになります。
たとえば、Amsterdam Business SchoolのフルタイムMBAでは、授業+予習で45-50時間の勉強が必要とされています。
金曜には課外アクティビティもありますので、かなりハードなスケジュールです。

・オンラインMBA
オンラインMBAはいつでもどこでも自分のペースで学ぶことができます。
別の見方をすれば、オンラインMBAでは学習ペースが完全に学生に委ねられているため、タイムマネジメントが極めて重要になるということです。
たとえばOhio Universityでは、オンラインMBAの学生に10-20時間/週の学習を求めています3。
毎日勉強時間を確保している方もいれば、週末にまとめてという方もいます。
非ネイティブの学生だと更に多くの時間が必要かもしれません。
フルタイムのようなハードさはないものの、自律的な学習が求められる点ではオンラインも決して「楽勝」とは言えないかと思います。

④費用
・フルタイムMBA
フルタイムMBAでは、学費の他にも住居費、食費、交通費など様々な費用が掛かります。
Financial TimesのフルタイムMBAランキング1位であるThe Wharton School of University of Pennsylvaniaの場合、2023年のトータルコストは$249,712でした4。
円換算すると、35,192,786円(140円/ドル)です。
ちなみにMBAコースではありませんが、トランプ元大統領やテスラCEOイーロンマスクも同スクールの出身です。
Whartonのトータルコスト内訳
Tuition Fee | $169,660 |
Additional Fee | $4,670 |
Healthcare | $8,824 |
Living Cost | $65,508 |
Additional Costs | $1,050 |
Total Cost | $249,712 |
・オンラインMBA
オンラインMBAの場合は、学費以外に必要なコストはほとんどありません。
Missouri State UniversityのオンラインMBAの場合、大学に払う費用は以下の通りです。
円換算すると2,288,966円(140円/ドル)となります。
Missouri State Universityのトータルコスト内訳
Tuition | $12,900 |
Student Service Fee | $1,200 |
COB Level Course Fee(大学院コース費) | $2,150 |
Total Cost | $16,250 |
下記記事では最安のオンラインMBAをご紹介しています。良ければ参考になさって下さい。
まとめ
ここではフルタイムMBAとオンラインMBAを、4つのコミットメント(住まい、仕事、時間、費用)から比較してみました。
両者では必要とするコミットメントがかなり違います。
この違いが、キャリアへのインパクトの違いに反映されているように思います。
どちらを選択するかは、ご家族や職場ともよく相談なさることをお勧めします。
*本記事の内容は、あくまでも執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。各校の最新情報は必ず、スクールのウェブサイトでチェックなさってください。
- https://fortune.com/education/articles/online-mba-versus-traditional-mba/ ↩︎
- https://fortune.com/education/articles/online-mba-versus-traditional-mba/ ↩︎
- https://fortune.com/education/articles/juggling-priorities-how-many-hours-per-week-a-part-time-mba-takes/ ↩︎
- https://www.businessbecause.com/welcome-new-user/cost-of-mba-report-2024 ↩︎