一口にMBAと言っても、実は4つのフォーマットがあります。
- フルタイムMBA
- パートタイムMBA
- エグゼクティブMBA
- オンラインMBA
どれが自分に合うのか迷っている方もいらっしゃると思います。
この記事ではそれぞれのメリット、デメリットについて詳しく解説しますので、ご自分に合うフォーマットを見つけてください。

1. フォーマット別MBA
・4つのフォーマット
MBAは世界中どこの国でも人気のプログラムなだけに、世の中のニーズに合わせて様々な形式で提供されています。
元々は全日制通学型のフルタイムMBAしかありませんでしたが、今では大きく分けると以下の4つのフォーマットがあります。
フォーマット | 講義形態 |
フルタイムMBA | 全日制/通学 |
パートタイムMBA | 夜間や週末/通学 |
エグゼクティブMBA | 夜間や週末/通学 企業幹部向け |
オンラインMBA | オンライン |
・学位はどれも同じ
上記4つのフォーマットは講義形態(デリバリーモード)が違うとはいえ、修了後の学位はどれもMaster of Business Administration、どれも同等です。
毎日キャンパスに通っても、日本で仕事をしながら学んでも授与されるのは同じ学位なのです。
パートタイムだから、オンラインだからと言って学位授与書に”Master of Business Administration by part time /onlineなどと記載されるわけではありません。
その理由は、どのフォーマットでもMBAとして学ぶべきカリキュラムは同じとされているからです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
・費用感の違い
学位は同じだとしても、とにかく差が大きいのはコストです。
それぞれのフォーマットのコストを比較してみたいと思います。
まずは、フルタイム、パートタイム、エグゼクティブという3つの通学型コースを見てみます。
フォーマット別コスト比較(フルタイムvsパートタイムvsエグゼクティブ)

データは2021年。フルタイムとパートタイムは初年度コスト、エグゼクティブはフルコスト。INSEADはユーロ。それ以外はドル。
フルタイムは住居費なども含めたトータルコストとなっており、安くても$63,551、日本円で約890万(140円/$で換算)です。
文字通り、エグゼクティブを対象としたエグゼクティブMBAは更に高額となっています。

オンラインMBAについては別途、下表をご用意しました。
上表のスクールでオンラインMBAを開講しているスクールはほとんどないため、イギリスのオンラインMBAについて筆者が独自に調査し、24年の学費が安価な順に並べたものです。
順位 | スクール名 | 24年学費 (ポンド) | 23年学費 (ポンド) |
1 | University of Hull | 12,150 | 12,000 |
2 | Oxford Brooks University | 18,950 | 18,600 |
3 | University of Leicester | 19,150 | 17,700 |
4 | University of Bradford | 20,196 | 19,704 |
5 | Aston | 21,000 | 18,700 |
6 | The Open University | 21,105 | 21,625 |
7 | Aberdeen | 22,390 | 23,250 |
8 | University of Liverpool | 23,153 | 22,050 |
9 | Birmingham | 24,290 | 24,284 |
10 | Manchester Metropolitan University | 27,500 | 14,976 |
10校の平均は20,988ポンド、約370万(180円/£)で、オンラインはかなりリーズナブルだということが分かります。
最安のオンラインMBAについては下記記事をご覧ください。
以下では、一つ一つのフォーマットにつき、それぞれのメリット、デメリットをわかりやすく説明していきます。
2. フルタイムMBA
フルタイムMBAは、現地のキャンパスで学ぶ全日制プログラムです。
何よりのメリットは、対面ならではのインタラクションとネットワーキングです。
前述の通り高額な点や、通学の為に転居が必要になる点はデメリットとなります。
日本でもよく知られているのは、M7と呼ばれる北米の7校です。
ハーバードビジネススクール |
コロンビアビジネススクール |
ペンシルバニア大学ウォートンスクール |
シカゴ大学ブーススクールオブビジネス |
マサチューセッツ工科大学スローンスクールオブマネジメント |
スタンフォード大学グラデュエートスクールオブビジネス |
ノースウェスタン大学ケロッグスクールオブマネジメント |
日本からも社費留学で、海外のフルタイムMBAに行く方がかなりいらっしゃいます。
たとえば楽天創業者の三木谷会長は日興銀時代に、サントリーホールディングスの新浪社長も三菱商事時代に、どちらもハーバードMBAに留学しています。
フルタイムMBAは合格基準も厳しく、プログラム内容も相当ハードなものとなっています。
3. パートタイムMBA
パートタイムMBAは、全日制ではないプログラムのことです。
エグゼクティブMBAもパートタイムMBAの一部と言えますし、オンラインMBAもパートタイムMBAに含めるスクールもあります。
授業は夜間や週末(一部、オンライン)に実施されるので、仕事を持つ方でも参加できるのがメリットです。
ただ基本は教室での講義なので、通学圏内に居住していなければ講義に参加できないというデメリットがあります。
たとえばUniversity of Chicago(Booth)では、Weeknightコース(平日夜&土曜)とWeekendコースという2つのフォーマットがあり、Weekendコースに参加する学生の61%は、下図のようにアメリカ全土から泊りがけでシカゴに集まってきます。
University of Chicago Part-Time MBA Weekendコースの学生分布

4. エグゼクティブMBA
経験豊富なミドル管理職以上を対象としたパートタイムMBAの一つで、EMBAと略されます。
様々な経営課題に直面するマネジメント層が効率よく経営知識を身につけられるのがメリットです。
多くのスクールが7年から10年以上のビジネス経験を要件としており、学生の平均年齢は高い傾向にあります。
デメリットとしては、やはり授業料が高額な点が挙げられるかと思います。
University of Pennsylvania(Wharton)などでは、
An endorsement from students’ employers is required for time away from work. Financial support from the employer is required for Fellow Applicants(筆者注:社会人経験8年未満の志願者)
とされており、EMBA学生には勤務先からのサポートが必要とされています。

5. オンラインMBA
オンラインMBAもパートタイムプログラムの一種です。
フレキシブルな学習環境への要請とオンラインプラットフォームの進化が相まって生まれた形式です。
入学基準もかなり寛容で、平均合格率もフルタイムに比較すると低いのが特徴です。
自分のライフスタイルに合わせて、いつでもどこでも学習できるのが最大のメリット。しかも安価です。
世界各地から様々なバックグラウンドの学生が参加しているので、4フォーマットの中でも、学生のダイバーシティは圧倒的に高くなっています。
デメリットはやはり、対面によるインタラクションに欠けることです。
ただこの点については、最近リモートと対面を組み合わせたハイブリッドMBA(フレキシブルMBAとも呼ばれる)が登場し、人気となっています。
6. まとめ
この記事では、海外スクールを中心にMBAの4つのフォーマットをご紹介させて頂きました。
それぞれメリット、デメリットがありますので、ご自分のライフプランに合ったフォーマットを選択なさってください。