働きながら海外MBAを目指す場合、仕事や家庭とのバランスを取りながら日々の学習をどう進めるのかは気になるところです。
本記事では、オンラインMBAの具体的なコンテンツや実際の週間スケジュールをご紹介します。
学習を進める上での課題や対策についても詳しく解説しますので、是非参考になさって下さい。

1. オンラインMBAの4つのコンテンツ
働きながら海外MBAを目指す場合、毎週のスケジュール感は気になるところです。
オンラインMBAのコンテンツは各校で異なるものの、ざっくり以下の4つで成り立っています。
①オンデマンドパート
メインは、Asynchronous と呼ばれるオンデマンドのパートです
オンライン学習に特化したプラットフォーム上に、ビデオ講義、文字テキスト、文献リスト、アサインメント(課題)、アセスメント(試験)など、オンライン学習に必要なあらゆるコンテンツが用意されています。
クラスメート同士で色々な話題について議論しあうディスカッションフォーラムという仕組みもあります。

こちらのUniversity of Hullのサイトでは、どのようにオンライン学習を進めるのかを動画で解説してくれています。
オンライン学習が初めてという方は是非、ご覧になってはいかがでしょうか?

② リアルタイムパート
たとえフルリモートだとしても、リアルタイムのパートはあります。
たとえば、時間指定で行われるライブ講義、グループプロジェクトのミーティングなどです。
ライブ講義は録画され、欠席してもあとからキャッチアップできるようになっているスクールも多くあります。
ちなみにCarnegie Mellonでは、一部のライブ講義を公開しており、登録さえすれば誰でも無料で体験できます。
下記はその体験参加のレポート記事です。参加方法についてもご紹介しているので、宜しければご覧ください。
③ 自己学習
上記以外に、自らタスクを設定して行う自己学習も必要です。
たとえば毎週の課題やグループプロジェクトに関する作業、資料作り、Reading list(参考文献)の読書、試験準備などが含まれます。
作業量についてスクール側から細かい指導はないため、取り組み方にはかなり個人差が出ると思います。
ちなみに私はかなりざっくばらんでした…。

④ ネットワーキング
世界中から集まってきた多彩なWoriking professionalとの交流もオンラインMBAの重要な要素です。
グループプロジェクトやオンラインイベント、ハイブリッドMBAならキャンパスでの対面講義など、オンラインMBAにもネットワーキングの機会が色々とあります。
そのキャリアでも生かせる多くの気づきやインスピレーションが得られると思います。
オンラインMBAは、これら4つの要素をバランス良く組み合わせることで、柔軟かつ効果的な学習環境を提供してくれているのです。
2. サンプルスケジュール
さてここからは、実際の学習スケジュールを見てみましょう。
大抵のスクールでは毎週課題が課せられますが、そのボリューム感やハードさにはかなり違いがあります。
また試験の難易度も様々です。
従って以下のサンプルは、あくまでも参考程度にお考え下さい。
・レスター大学の学期スケジュール
最初に、私が実際に経験したUniversity of Leicester(英国)のスケジュールをご紹介したいと思います。
同校は4か月で1タームとなっており、1つのタームで2モジュール(科目)を並行して受講します。
下記はAccountingモジュールのスケジュールです。全体は15週で、ラスト2週は試験準備でした。
このモジュールはスクール作成のテキストとは別に、市販のテキストが郵送されてきて、それを毎週、1~2章ずつ学んでいくスタイルでした。
英国企業を使った興味深いケーススタディなどもあり、かなり楽しんで学んでいたつもりでしたが、試験は残念ながら不合格。
同じく落第したクラスメートと必死で勉強し、再試験で何とか単位が取れたのも今では良い思い出です。
Week | Title | Lecture or Seminar | Readings | Discussion Forum Activities | Case study and exercise |
---|---|---|---|---|---|
1 | Orientation and expectation, Section 1: Perspective on Accounting | N.A. | Chapter 1 and 6 Reading List | Introductions and challenges | N.A. |
2 | Sec.2:Principal Financial Statements | Lecture 1: Balance Sheet and Income Statements and Cash Flow Statement | Chapter 3,6,and 8 Reading List | Why profit and cash are not the same and the importance of understanding this | Case study 1 |
3 | Sec.3: Interpreting Financial Statements | N.A. | Chapter 7 Reading List | N.A. | Case study 2 |
4 | Sec.3: Interpreting Financial Statements | Seminar 1: Reflecting on Week 3 and 4 interpreting Financial Statements using case study | Reading List | HMV | Case study 3 |
5-12 | 省略 | 省略 | 省略 | 省略 | 省略 |
13 | Sec 10: Performance Management | Seminar 3: Review budgeting exercise and Examination preparation | Chapter 15 Reading List | Performance management techniques in practice | |
14 | exam preparation | N.A. | N.A. | N.A. | N.A. |
15 | exam preparation | N.A. | N.A. | N.A. | N.A. |
・イリノイ大学の週間スケジュール
上記は学期全体のスケジュールでしたが、1週間単位でのスケジュールも見てみましょう。
一般的にオンラインMBAでは、15-20時間/週の学習が必要と言われます。
下記はイリノイ大学(米国)のカリキュラムをベースにした週間スケジュールのイメージです(日本との時差は+14時間)。
同校ではCourseraと連携してライブ動画を提供したり、週末を上手く利用できるよう、課題の提出日を週明けに設定するなど、オンラインMBAの充実にかなり注力しています。
月曜日
- 午前6:00-7:30:講義動画視聴
- 午後7:00-8:00:読書課題
火曜日
- 午前6:00-7:00:前日の学習内容の復習、前週課題の最終仕上げ
- 午後7:00-8:30:ライブオンラインセッション参加、前週課題提出
水曜日
- 午前6:00-7:00:オンラインテスト受検
- 午後7:00-9:00:当週の個人課題作業
木曜日
- 午前6:00-7:00:追加の読書課題
- 午後7:00-8:30:チームプロジェクトのオンラインミーティング
金曜日
- 午前6:00-7:30:講義動画視聴
- 午後7:00-8:00:ディスカッションフォーラムへの投稿
土曜日
- 午前9:00-12:00:個人課題・チームプロジェクト作業
日曜日
- 午後2:00-5:00:次週の準備、未完了の課題の仕上げ
・IEの週間スケジュール
次に、IE(スペイン)を見てみましょう。
同校はオンラインMBAランキングで堂々の1位。質が高く、充実したプログラムに定評があり、競争率の高い人気校です。
IEでは、月~木曜は毎日ディスカッションフォーラムへの投稿が求められます。
卒業生にお聞きすると、自分の投稿やクラスメートの投稿へのコメントで1~2時間かかることもあるとのことでした。
1日単位のタスクが指定されているオンラインMBAプログラムはそれほど多くないと思います。
同校では土曜にライブセッションもあり、実績のある人気校としてしっかりしたコミットメントが求められています。

週単位、学期単位でのワークロードがどのくらいになりそうかは、事前にスクールに問い合わせてみることをお勧めします。
多くのスクールが、在籍生から話を聞く機会を設けてくれたり、出来る限りの対応をしてくれると思います。
3. オンライン学習の課題と対策
ここからはオンラインで学習を進めていくうえでの課題と対策をご説明したいと思います。
・タイムマネジメント
第一の課題はやはりタイムマネジメントです。
上記でご覧いただいた通り、オンラインMBAのスケジュールは柔軟性があるとはいえ、やはりハードです。
仕事、家庭、学業のバランスを取ることは容易ではありません。
たとえば以下のような対策が効果的だと思います。
- 週間・月間の学習計画を立てる
- 優先順位を明確にし、時間をブロックで確保する
- 家族や職場の理解と協力を得る
- 通勤時間や昼休みを活用してオンデマンド教材を学習する
・モチベーションの維持
二つ目の課題はモチベーションの維持です。
オンラインMBAは、生活環境を変えず、また身近に学習仲間もいない環境での長期間の独習です。
入学当初は誰もがやる気に満ちていると思いますが、独習に慣れていない方だと、途中でどうしてもモチベーションが下がってきてしまいます。
そうした場合は、以下のような対策が役立つと思います。
- 小さな目標を設定し、達成感を味わうようにする
- クラスメイトと積極的に交流する(グループワークやSNS、ライブセッション前後での雑談など)
- 学んだことを実際の仕事に適用し、成果を実感する
- 学習習慣を確立し、ルーティン化する
- 可能なら対面イベントに参加する
・テクノロジーの壁
またオンライン学習に不慣れな方の場合は、技術的な問題が学習の妨げになることがあります。
オンラインMBAは、VLE(Virtual Learning Platform)と呼ばれるプラットフォームでの作業が中心になりますので、出来るだけ早く習熟することが肝要です。
University of Hullでは、実際のプラットフォームを動画で紹介してくれていますので、一度ご覧になってみてください。

この問題の対策としては、以下がお勧めです。
- プログラム開始前のオリエンテーションで十分にツールの使用方法を学ぶ
- スクールの技術サポートチームを積極的に活用する
- 安定したインターネット接続を確保する
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?オンラインMBAのスケジュール感を少しでもつかんで頂けたでしょうか?
働きながら学ぶのはハードですが、タイムマネジメント力やバランス感覚も身につきます。
自ら設定したゴールやミッションに従い、学び続ける人材こそが、今後の社会をリードしていけると思います。
是非、自分の可能性を信じて一歩踏み出してみてください!
*この記事は執筆時点での筆者のリサーチにもとづいています。情報の正確性には細心の注意を払っていますが、内容の最新性や完全性を保証するものではありません。