海外オンラインMBAへの挑戦を考えている皆さん、推薦状の準備に悩んでいませんか?
特に、現職の上司に推薦状を依頼しづらい状況にある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな皆さんの不安を解消し、効率的に推薦状を入手するためのステップを詳しく説明します。

1. 推薦状の役割と重要性
まず、海外オンラインMBA出願における推薦状の位置づけを確認させてください。
推薦状は、第三者があなたの能力、業績、人柄などについて証明する重要な書類です。スクールはこれを通じて、あなたが自校にふさわしい人材かどうかを判断します。
- Transcript (大学の成績証明書)
- Resume (履歴書)
- Statement of Purpose/Essay (出願エッセイ)
- Letter of Recommendation(推薦状)
- English Qualification (TOEFLやIELTSのスコア)
これらの中で、推薦状は単なる形式的な文書ではありません。あなたの強みや成長の可能性を具体的に示す貴重な機会なのです。
2. 推薦状作成の7ステップ
では、ここから推薦状の作成ステップを解説していきます。
以下のような7つのステップとなります。
ステップ | 内容 |
1. 要件確認 | 各校の推薦状要件を確認 |
2. 推薦者選定 | 適切な推薦者を選ぶ |
3. 依頼の実施 | 丁寧に推薦状を依頼 |
4. 推薦者との打合せ | 他書類との整合性など目線合わせ |
5. 本文作成 | 草案を作るか、丸投げか。 |
6. 翻訳 | 推薦状を英語に翻訳 |
7. 出願ポータルからの提出 | 推薦状をオンラインで提出 |
①要件確認
まずは各スクールの推薦状に関する要件(必要通数、推薦者の資格など)を確認なさってください。
Entry Requirement、Admissionといったページを見れば、出願書類の要件が分かります。
例えばUniversity of Edinburghでは、「仕事関係者から1通、場合によっては2通。アカデミアの推薦者はダメ」という要件があります。
②推薦者選び
ここがなかなか悩ましいステップです。
現職の関係者にMBA受験を知られたくない、言い出しにくいという方も多いと思います。
ご安心ください。推薦状は現職の上司以外でもOKです。
たとえば、以下のような人物が候補となります。
- 過去の上司
- プロジェクトリーダーや部門長
- メンターや社外のアドバイザー
- クライアントや取引先の担当者
- 非営利活動やボランティアでの協働者
オンラインMBAのトップ校であるUniversity of North Carolinaは、「職場で一番偉い人」ではなく「一緒に仕事をした人」からの推薦状がベストと言っています。
大切なのは「あなたのことを個別/具体的に語れるかどうか」です。

推薦状では、推薦者と出願者との関係性について説明する必要があります。
「出願者の事はよく知らないけど、頼まれたので推薦者になりました」といった論調を避けるためにも、④の「推薦者との打合せ」というステップが重要です。
どうしても人選に悩む場合は遠慮せず、スクールのアドミッションオフィスに相談なさることをお勧めします。
ほとんどのスクールにadmission advisorといった役割のスタッフがおり、個別の相談に気軽に対応してくれます。
また意中の推薦者に打診して断られる場合も想定して、バックアップの候補者も探しておくことをお勧めします。
③推薦者への依頼
推薦状の依頼は丁寧に、かつ戦略的に行う事をお勧めします。
以下のステップを参考になさってください。
- 事前の打診:まず、推薦状を書いてもらえるか、非公式に打診します。
- 正式な依頼:承諾を得たら、詳細な情報とともに正式に依頼します。
- 必要書類の提供:履歴書、志望理由書、これまでの成果などを共有します。
- 締め切りの確認:提出期限を明確に伝え、余裕を持ったスケジュールを立てます。
推薦者の多くは、職位が高く多忙な方々ばかりだと思います。
スケジュールの都合がつかなかったり、海外MBAの推薦状と聞いて躊躇する方もいらっしゃるので、なかなか受けてもらえないことも想定されます。
とは言え、このステップはまさに「自分の売り込み」。キャリアピボットには絶対に必要となるスキルです。
是非、前向きに取り組んでみてください。
④推薦者との打ち合わせ
推薦者との事前の打ち合わせは非常に重要です。
以下のような点を共有しておかれると良いと思います。出来ればアジェンダを事前に送付なさっておくと効率的です。
- MBAの志望理由と将来のキャリアプラン
- 出願するスクールの特徴と、あなたがそのスクールを選んだ理由
- あなたの強み、弱み、そしてMBAを通じて伸ばしたい点
- 推薦状に含めてほしい具体的なエピソード
- 他の出願書類(エッセイ、履歴書)の内容
この打ち合わせでは、推薦者にあなたの長所を最大限アピールしてもらえるよう、十分な情報を提供することが大切です。
また、推薦状の内容が他の出願書類と整合性を持つよう注意なさってください。
⑤本文作成
推薦状の本文作成には主に2つのアプローチがあります:
- 推薦者が一から作成する
- あなたが草案を作り、推薦者に確認・修正してもらう
どちらのアプローチを取るかは、推薦者との関係性や推薦者の時間的制約によって決まってくると思います。
草案を作成する場合は、以下の点に注意してください:
- 推薦者の視点から書く
- 具体的なエピソードを含める
- あなたの強みだけでなく、改善点や成長の可能性も言及する
- MBAプログラムでの成功可能性について言及する
また、「推薦状」と聞くと日本人の感覚では、「XXさんはとても優秀で…」といった美辞麗句を並べがちです。
しかし客観性や公平性を重視する欧米では、あえて改善を要する点も示し、MBAの学びによる伸びしろを期待させる書きぶりが好まれます。
「褒めてばかりではなく、至らない点についても書いてほしい」とお願いしておくことをお勧めします。
⑥翻訳
日本語で作成した場合は、専門家による翻訳が必要です。
翻訳の際は以下の点に注意しましょう。
- MBA出願書類の翻訳経験がある翻訳者を選ぶ
- 単なる直訳ではなく、文化的なニュアンスも適切に伝える
- 専門用語や業界特有の表現を正確に翻訳する
- 翻訳後、内容を確認し、必要に応じて修正を依頼する
安心なのは、留学書類を多く手がけている翻訳会社への外注です。
出願書類の編集に特化したTOP Admit(下記広告)などのサービスを利用するのも一案です。
⑦出願ポータルからの提出
推薦状の提出は他の書類と同様、出願ポータル上で行うのが一般的です。
出願ポータルって何?という方は下記をご覧ください。
提出の流れは下記の通りです。
- 出願者が推薦者の連絡先を出願ポータルに登録
- 出願ポータルから推薦者に招待メールが送信される
- 推薦者がポータルにログインし、推薦状をアップロードまたはオンラインフォームに記入
- 推薦者が提出を完了すると、出願ポータル上で出願者に通知が届く
不測の事態に備えて、締切に十分な余裕を持って手続きを進め、必要に応じて推薦者にリマインドを送ることも大切です。
推薦状の入手が遅れそうな場合は、早めにスクールのアドミッションオフィスに事情を説明しておくことをお勧めします。
推薦状以外の必要書類を提出しておけば、推薦状の入手が未済でも審査手続きを開始してくれます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
3. よくある質問と回答
日本ではあまり馴染みがないだけに、推薦状はなかなか厄介な書類です。
以下によくある質問とその回答をまとめてみました。
Q: 現職上司に頼めない場合は?
A: 過去の上司、プロジェクトリーダー、メンターなど、あなたの能力をよく知る人でもOKです。現職上司に頼めない理由をエッセイにて簡潔に説明しましょう。ポータル上に、optional/additional informationというセクションがあれば、そこでもOKです。
Q: 推薦状の内容は自分で書いてもいい?
A: 推薦者と相談の上、草案を作成し確認してもらう方法が一般的です。ただし、最終的には推薦者の言葉で書かれるべきです。推薦者の個性や視点が反映されていることが重要です。
Q: 提出が遅れそうな場合は?
A: 早めにアドミッションオフィスに連絡し、状況を説明しましょう。多くの場合、柔軟に対応してくれます。ただし、できるだけ締切を守るよう努力することが大切です。
Q: GPAが低い場合、推薦状でカバーできる?
A: 推薦状だけでGPAの低さを完全にカバーすることは難しいですが、あなたの学習能力や成長の可能性を強調することで、GPAの影響を軽減することはできます。推薦者に、あなたの分析力や問題解決能力について具体的に言及してもらう事をお勧めします。
4. まとめ
推薦者もあなた自身も忙しい中、推薦状というセンシティブな書類を作り上げるのはなかなか至難の業です。
しかし、この過程自体が、あなたの交渉力やプロジェクト管理能力を示す絶好の機会でもあります。是非、段取りよく仕上げてください。
*本記事の内容は、あくまでも執筆時点での筆者のリサーチに基づいています。各校の最新情報は必ず、スクールのウェブサイトでチェックなさってください。皆さんのMBA挑戦が実り多きものとなることを心より願っています。
- GMAT必須の場合は、上記に加えてGMATスコアの提出が必要です。 ↩︎